カリスマ文脈師

 美容院にて文脈力を思う。


 私の住む辺りは美容院激戦区*1で群雄割拠ひしめく中、長らくジプシー生活を続けていたのですが、この程、定住地を見つけました。同じお店に二度行くのはここに越してきてからの四年余りで初めてのことです。
 前回行った時になんとなく居心地の良さを感じたのですが、今回齋藤フィルタを通して見てみると、ここにたどり着いた理由がクリアになり、すっきりしました。恐るべし、齋藤力。


 ファッション、流行に疎い人間にとって、美容院はやや気後れしてしまう場所です。見苦しくない程度で良いのに、最新のファッション誌やヘアカタログを見せられてもそんなに完璧にヘアメイクする時間も技量もないし、「松嶋菜々子みたいにしてください」と言える土台も度胸も持ち合わせてない。でもちょっとはおしゃれ心を刺激してみたい。
 そんな劣等感と自意識こもごもの素人の拙い説明を補足しつつうまく誘導し、その上でイメージ通りに仕上げるところまでが、美容師の腕だと思うのだけど、技術優先でそれ以前のコミュニケーションが軽視されているのが、美容院の敷居を高くしているのではないか。高いと感じているのは私だけか。


 前提条件であるコミュニケーションに必要なのは質問力、コメント力、文脈力・・・とまさに一連の齋藤メソッド全開ではないですか。
 そう思い至ると、施術中の会話にもその力量の差は出てくる。
 積極的におしゃべりしたい人、できれば放って置いてほしい人、雑誌や本を読みたい人、客のタイプもいろいろだというのに、とにかくしゃべりまくるのが接客と思っていたり、子持ち相手というだけで自分の子ならまだしも甥っ子姪っ子近所の子ども総動員で子どもの話*2しかしなかったり、前に失敗してるからいいって言ってるのに執拗にカラー(他、自分の技術あれこれ)を勧めたり・・・
 ここで試されるのはまさに文脈力。


 今回、二度目に出かけたお店は、この辺りの匙加減が抜群で、私が本*3を読んでいる間は、余計なおしゃべりをすることなく、一区切りのタイミングを見計らって話しかけてくれるし、「あと5分ほどでもう一度薬剤をかけます」「これは髪に負担を与えないためのトリートメント剤です。少し冷たく感じるかも知れませんがすみません」と必要なポイントでは進捗具合を的確に説明してくれるので、今何をされているのかが素人にも分かって安心できる。ここ、コメント力。
 その他にも随所に心配りが見られて、徹底して客が居心地よく過ごせる空間を作り上げているというのが感じられる。


 漠然と雰囲気が良いと思っていたけれど、齋藤タームを使うと朧気の輪郭をしっかり捕まえることが出来、自分の感覚が論理的に裏打ちされたような快感を覚えます。
 文脈力が勝負なのは、銀座のママだけじゃない。接客業だけでもない、コミュニケーションを必要とする全ての活動において必要な技なのだろう。もちろんネット上でもね。


 今日の脇道。でも日記趣旨としては本流。
 公式サイト にて齋藤メソッド(齋藤様主宰の塾)の春期特別講義受講者を緊急募集してます。
 テレビ番組構成との兼ね合いもあるようで、「※日本テレビ世界一受けたい授業』(3月12日放映予定)のカメラが入るので、ご了承のうえお申し込み下さい。」との添え書きがありますが、了承どころかそこ目的の申込も殺到していることでしょう。
 そんなんじゃなく、純粋に齋藤様目的(ある意味もっと不純)で申し込みたいところだけど、小学四〜六年生対象じゃさすがにうちの三歳児、無理があるか。器用に四股踏むんですが。平仮名は小さい「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」が怪しいですが。・・・「おかあさんといっしょ」出演申込辺りが妥当か。

*1:都心のおしゃれさんが集う街で腕を磨いたトップスタイリスト(でいいの?呼び方。参考「ビューティフルライフ」)が独立して店を構えるには家賃相場等適していると聞いたことがあります。それだけにおっしゃれーなこだわりのお店っぽいのが多いです

*2:気を遣ってくれてるのは分かるし、こちらも大人なのでにこやかに応じますが、美容院にいるときくらい非日常に浸りたいっす

*3:もちろん齋藤様本。ストレス知らずの対話術 (PHP新書) COMING SOON!