文豪ナビ谷崎潤一郎


 またもや、第七感ミーハーアンテナ作動。
 書店をうろうろしていたら、こんなの発見。
文豪ナビ 谷崎潤一郎 (新潮文庫)


 表紙のインパクトに思わず手に取ってみました。(思うツボ。新潮さん、大成功ですよ!)この文豪ナビというシリーズ、全七巻あって、谷崎の他には夏目漱石芥川龍之介三島由紀夫川端康成太宰治山本周五郎が既刊だそうです。(私が行った書店には、谷崎と山本周五郎のみ置かれてました)


 評伝や作品解説、著名人のエッセイ*1などを織り込みつつ、各文豪の世界へ誘う〜という作りになっていて、若者(に限らないか)の活字離れ、殊に古典的名作が廃れていくのをなんとかしようという、その心意気、買った!と思いつつ、ぱらぱらページをめくっていくと、あらなんと齋藤様も一枚噛んでいらしたのですね。


 谷崎作品の中から「声に出して読みたい」名場面をチョイス、解説感想も添えられております。そのまんまと言えばそのまんまの分かり易い齋藤孝活用法ですが、今さら齋藤様以外にこの役目が務まる人材はない*2でしょうしね。
 ・・・心意気だけでなく、本そのものも買ってしまいました。


 とは言ってもこの文豪ナビ全肯定と言うわけではなく、ここまで迎合しなくても、とか、これ読んで谷崎分かった気になって、結局は本編読まないでおしまいってのが関の山じゃないかなどと言うのが正直な感想です。
 狙い通りに中高生や、大学生が読んでくれるといいけれど、実際の購買層は、既に谷崎(もしくは他の文豪)を読んでいる人が多数を占めるのではないでしょうか。現に私も読んだことない山本周五郎じゃなく、耽読経験のある谷崎の方を手に取ったわけですし。


 思惑通り、一石を投じることができると良いですね。
 不親切にただ「新潮文庫夏の百冊」とかいって並べてるだけよりはずっとずっと良いとは思います。


 さて、齋藤様の「声に出して読みたい谷崎潤一郎」の首尾はいかがなものかと申しますと、贔屓目だけでなくなかなか良いと思われます。
 今まで、谷崎作品は声に出して読むというより、薄暗い北向きの部屋で背中を丸めて息を殺して読み耽るのこそ相応しいのではないかと思っていたけれど、「細雪」の会話部分をなんちゃって関西弁で読むの、いいかも。
 あと齋藤様の音読一押し「春琴抄」、これは声に出して読むとまた一段と堪能できるかも知れません。さすが音読のオーソリティ。外しませんね。他の文豪ナビもチェックしなくては。




 

*1:本上まなみも谷崎好きだそうです。芸能人で谷崎好きの筆頭と言えば、中谷美紀だと思っていたのですが

*2:そんなわけですから、この文豪ナビシリーズ全編で齋藤様の「声に出して読みたい○○」は展開されているようです