風呂あがりの夜空に 1 (KCデラックス)を久しぶりに読んでいて、思った。主人公辰吉の魅力ってなんだろう。
 個性的といって余りある魅力的なキャラが次々と辰吉の許に集まって、祭り上げて盛り上げていくのだけど、当の辰吉の求心力の出所が今ひとつ読者に伝わってこない。作者の力量*1か、こっちの読みが足りないのか。


 齋藤様お薦めブックリストにも紹介されている「風呂上がり」、高校生の頃から大好きなのだけど、そのきっかけは当時大好きだった少年隊のニッキ*2が「いい!」と言っていたから。・・・やってること一緒。つくづく人間って変わらないものです。


 それはさておき、この辰吉のポジション、誰かに似ていると思ったら、「新選組!」の近藤勇
 こちらも次々勇を慕って剣客達が集まって来るのだけど、当の勇にそれだけのカリスマ性や実力が感じられないうちに、あれよあれよと周りの盛り立てで浪士組の局長に担ぎ上げられ、新選組を束ねることになり、本人の意のはっきりしないままに回天の幕末に波に巻き込まれていくような印象でした。
 これは香取の力不足か?と思っていたら、後半からぐんぐん近藤勇になっていったのは、本人の努力、開眼にも寄るのだろうけど、周りがしっかり色を固めたことで、香取の近藤勇が明確な輪郭を取り、形作られたのでしょう。


 脇役の布陣によって、主役が立つということ。
 辰吉のぼーっとしたキャラはあれでよかったんだなぁなどと、十数年来の疑問が解けてすっきりした、2005年1月も終わろうという今日この日。
 ふと思い立つと、「新選組!」の公式サイトも明日で閉鎖なので、慌てて読み返しました。全四十九回分のあらすじと、主なトピックス。
 もう一回見ておこうと思いつつ、先延ばしになっていたのが、ぎりぎりのところで果たせたのも「風呂上がり」読み返したお陰。
 間に合えば。


 ところで齋藤様の「風呂上がり」推薦の辞を目にしたことがないのですが、いろいろ読んでるうちに行き当たるのでしょうか。それも今後の楽しみにしつつ。


 今回は、もしかして「新選組!」のキーワードで来てくれた方にあと一日だよ、見ておいてねと申し上げたく、無理矢理齋藤様に絡めてみました。

*1:絵がぐんぐん変わっていく様も見どころ。特に成長の跡が見られるのは、辰吉の母と手指の描き方

*2:テレ朝でほぼ原作無視のドラマ化もされましたが、やっぱりあそこは辰吉でなく伊豆次役のニッキがみたかったものです