質問力―話し上手はここがちがう
- 作者: 斎藤孝
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2003/03
- メディア: 単行本
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<設問>
以下の語彙を全て用いて「質問力」を説明せよ。
語群【コメント力・コミュニケーション力・段取り力・文脈力・読書力・五感力】
<解答例>
質問力とは社会生活を送る上で必須であるコミュニケーション力に欠かせない要素の一つであり、コメント力との相互作用で活きる力である。質問力を発揮する前提として、状況をうまく読みとる文脈力も必要であるが、全てを通しての段取り力の重要性は言うまでもない。
それらコミュニケーションの為にはまず自らを確立させるため、読書力で知識や見識を磨き、五感力を研ぎ澄ますことが大切である。
齋藤斎(暫定)の著書タイトルになっている「○○力」を全て使ってみました(参考;amazon。取りこぼしあったら失礼)
やや苦しいですが、何が言いたかったのかというと、たくさんの著作がありますが、少しずつ関連があって、重なる部分も多いんですよ!ということ。
今回読み終えた「質問力」も齋藤斎(暫定)の提唱する一連のコミュニケーションメソッドの一つの切り口で、忌憚なく言ってしまえば、一章程度の内容に過ぎないことを無理矢理膨らませて一冊に仕立て上げてしまっている感が否めません。
かくなる上は、一連の「○○力」(以下続刊!)を全て網羅し、豪華装丁のダイジェスト版「齋藤力*1(仮題)」を上梓するしかないでしょう。現在の濫出版はそのための布石?
ま、そんな野望の邪推はさておき、他の「○○力」シリーズはそうでもないんでしょうか、ふくらし粉でお腹いっぱい感。
この「質問力」に限っては最初に定義があって少し講釈があって、あと延々齋藤セレクションの対談抜粋*2が続くので、だんだん対談集(しかも全然興味のない)を読んでいる気分になります。殊に私のような齋藤斎(暫定)目的の不良読者には苦行以外のなんでもなく、大して難しい内容ではないのに、なかなか読み進めることができず。
着想は良いと思うのです。「質問力」という切り口は普段のコミュニケーションにも生かせるでしょう。ただテキストのレベルが高い、いえ、読者層である一般人の想定外遙か彼方のお話なので、「ほーら、こんなところで質問力が効いている」と言われても「じゃ、今度使ってみよ」とはならないわけです。
実用書っぽい体を為しておいて、概念を説明するだけというのは肩透かし。且つ説明に費やすにはだらだらし過ぎ。
繰り返すようですが、着想は素晴らしい。
先日の「世界一受けたい授業」における「文脈力」もそうですが、「なに当たり前のことを言ってるんだ」と齋藤斎(暫定)を非難するのは大間違いで、彼はみんなが漠然と抱いている感覚を捕まえてきて、明確に輪郭を付けて提示する天才なのだと思います。
「声に出して読みたい日本語」を著すだけのことはあって、言葉の持つ起爆力に敏感な方ですから、「○○力」とネーミングして掲げることでよりインパクトを与えるとの計算があるのでしょう。
そういう意味で「“文脈力”なんて日本語ないよ、洞察力、判断力じゃだめなのかよ」って言われたら、はい、だめです。文脈力なのです。
そんなわけで「齋藤力(仮題)」に寄せる期待は大きいのですが、その分、既刊の「○○力」をこれから読むに当たっては厳しい目になってしまいそうでございます。