そんな友だちなら、いなくたっていいじゃないか!齋藤孝の「ガツンと一発」シリーズ 第(3)巻


 友人と共に図書館に行ってみたのですが、存外面白かったです。考えてみたら、子ども(これは付属物のようなもの、今のところ)以外と連れだって図書館に行くというのは初めてのこと。学生時代に学校の図書館になら、友人と一緒に行ったこともあるのですが。
 通い慣れた図書館もあなたとなら全く別の新しい世界〜とやや前時代的なラブソングっぽいのとは全然違った意味で新鮮な体験でした。


 まずルートが全く違うのです。
 私が未だかつて足を踏み入れたことすらなかった料理・手芸・ガーデニングetcの書棚の間をすいすい歩き、次々本を手に取り見入る彼女。
 そして選んだ本はテーブルウェアを折る―四季の食卓を彩るおりがみ (おりがみ自遊帖)。そういう世界もあるのですね。目から鱗


 私の定番ルートといえば、まず予約カウンターで大量予約or受取*1。その後、雑誌棚辺りを徘徊して齋藤様チェック。合間に児童書のコーナーで子どもの相手。そして子どもの限界を見極めつつ、早々に退散。
 効率的ではあるけれど、意外な出会いや広がりは諦めなければなりません。


 そこで思い付いたのは偏愛マップの派生型。友人と共に図書館に出かけたら、返却本を交換してみる。「読書力」で齋藤様が提唱していた読書トレーナーの変型とも言えるかも知れません。
 「一緒に図書館に行く」という行動が前提なので、実行は難しいかな。草の根的に、今度彼女が返却するテーブルウェアの本、借りてみることにします。・・・私が読むことに意味があるのかは別として。うーん、やっぱり無理があるか。


 私は私で、児童書の棚で見つけました。さりげなーく借りていく私に彼女も目から鱗だったでしょうか。「後で貸してね」とは言われませんでしたが。


 子ども向けなのであっと言う間に読めました。
 「みんな、そこにお座り」で始まる導入部分が、アイルランド民話の冒頭のようで良い感じです。これ、このシリーズの定番なんでしょうか。


 内容的にはね、とても正しくて真っ当。子どもの心に上手に届くといいのですが、「ひとりの世界を楽しもう」というのが既に大人の発想で、対象年齢当時に私がこれを読んで納得できただろうかというと怪しい。
 子どもの世界観って、本当に狭い狭い仲間内の出来事が全てで、クラス、せいぜい同学年の中で閉じてしまってるものなんですよね。いじめや人間関係に悩んでいれば尚のこと。
 だからこの本単体でなく、この本を薦めてくれるちょっと大人な存在があれば子どもにとって救いになってくれるかも知れない可能性はあり。という意味で大人にこそ読んで欲しい一冊です。

*1:本当はゆっくり書棚を見て回りたいけれど、時間節約のため、借りたい本は事前にネット上でチェック、貸出中のものはリストアップして持っていくのが習慣