真っ当を全う

 細雪 (中公文庫)を読み始めました。以前、文豪ナビ 谷崎潤一郎 (新潮文庫)のことを書きましたが、その中で、谷崎作品の読み進め方のフローチャート*1がありまして、これがまた、私が読んできた順番と全く同じで、四角四面で面白くない自分の読書歴に、ちょっとくらいひねれよ、と突っ込みを入れつつ、こうなったら最後まで全うせんと誓った次第なのです。
 谷崎ワールドの集大成「細雪」、これだけまだ読んでいなかったというのも、カモリストに載りそうなトホホっぷり。


 そして、合間合間に齋藤様著書も読んでいるので、おっと、こっちが本流だった、もとい。
 齋藤様著書の合間に「細雪」を読んでおりますので、なんだかこのところ読書づいております。そして更新も途絶えがちになっておりますが、この日記書いてない時ほど、齋藤活動に精を出しているという矛盾。「細雪」だって、本を正せば、齋藤様偏愛の一環ゆえ。


 ところで。
 「細雪」読み応えあります。なんせ、文庫*2のくせに厚さ4cm(測っちゃったじゃないか)という重厚感。
 そして段落がなかなか切れないのよ。一文もたらたらたらたら長いのよ。なのに、読ませてしまう圧倒的な文章力。催淫力と言い替えてもいいかも。いや、今のところ、表立って淫らな世界は繰り広げられてないのですけどね。文章自体に艶めかしさがあるって意味で。いやぁ、30過ぎてからでもクラシック的名作を読んでみるものです。谷崎、天才。って今さら私風情が言わんでもいいのですが。


 さて。ここでもう一人の天才を誉めよう。
 やっぱり声に出して読みたい衝動に駆られます。なまじ、関西*3に住んでいたことがあるものだから余計。別に誰に聞かせるものでもないのだから、なんちゃってでも全く構わないので、「細雪」音読を自信たっぷりに推奨、支持、奨励致します。
 長い一文も、切れ目ない段落も音読でクリア!という実用的な利点もさることながら、作品世界に耽溺できるという点も外せません。ほら、耽美派だし。


 全てを音読破と思ってしまうと、腰が引けてしまうので、時折気分転換やアクセントにしてみたり、好きなフレーズを味わうように声に出してみながら読み進めるというのが、入門コースとしてはいいのではないでしょうか。
 これで、読書の楽しみも倍増。少しのことにも先達はあらまほしき事なり。そう!並行して読んでいるのは使える!『徒然草』 (PHP新書)

*1:「刺青」→「痴人の愛」→「春琴抄」→「卍」→「猫と庄造と二人のおんな」→「蓼喰う虫」→「鍵」「瘋癲老人日記」→「細雪」がおすすめコースだそうです。正しくは「猫と庄造と・・」は読んでません

*2:新潮の文豪ナビに触発されたというのに中公文庫。だって新潮は上中下3巻に別れてるんだもの。せっかくページ残り少なくなってきたのに、またはじめのページから仕切り直しってのがどうも性に合わない

*3:関西を舞台にした美人四姉妹の物語なのです