月曜日の番組について、木曜日になって言及するなんて、いくら即時性を謳っていないとは言え、ネットの利点全く活用してないってのも情けない限り。いっそしらばっくれりゃいいんだけど、一言いわせてほしい良さがあるよね、「ガチャガチャポン!
 いつも齋藤様のことばっかりだけど(そういう趣旨の日記だものね)たまには虫眼鏡放り出してみよう。


 この番組、何がいいって、子どもの問題に大人が真剣に取り組もうとしている姿勢が素晴らしい。
 ローティーン向けの教育バラエティらしいけど、子どもと関わる大人にとっても学ぶものが多いし、差し当たって子どもとの関わりがない大人でも、かつて子どもだった頃の自分を回顧などしながら楽しむことも出来て、全ての世代にお勧めできる良番組。PTA選出の「子どもに見せたい番組」かどうかは、とても微妙なところだけど。


 「社会に出てから必要ない数学をどうして勉強しなきゃいけないのか?」というような子どもの疑問を、屁理屈と片づけたり、「大人になったら分かるわよ」とごまかしたりしないで、真正面から真摯に答えようとする。
 今週のテーマは「どうして正しい日本語を話さないといけないの?」だったのだが、正しい言葉遣いをするように諭す両親に対しての子どもたちの反論はこうだ。

  • 言葉とは自分の気持ちを伝えるもの。“ちょーかわいい”が自分の感情に一番ぴったり来る
  • 目上の人(担任の先生)に対して敬語を使わないのは、親しさの証拠
  • そもそも正しい日本語って何か?昔からの言葉が正しいのなら、どうして時代劇みたいな言葉は使わないの?言葉は変化するものなんじゃないの?


 上の2点はさておき、3つ目の反論に対しては、「屁理屈ばっかり言ってるんじゃないの、あなたはいつもそう。こないだだって・・・」と話をすり替えて、明確な解答を避けてきたような気がする、えーと主語は大人全般ね。
 長らく棚上げして、そのせいで堂々巡りになっていたこの「正しい日本語問題」に、「ガチャガチャポン!」が出した解答はこれ。


「言葉はお金みたいなもの」
 その心は、国や時代によって通貨は違うけど、今この時に共通に使えるもの。そして子どもたちが使う「ちょー」「キモい」のような流行語は、子ども銀行のお金のようなもので、仲間内で遊ぶのは面白いけど、社会の中では使えないものだよね、という具合。


 唯一無二でなく解答例の一つだから、人によっては容れないものかも知れないけれど、齋藤フィルターを差し引いても胸のすくような好解答だと思う。
 言葉はお金みたいなもの、という例えは気が利いてる。だって応用が利くもの。
 旅行者がよその国の言葉を使うのは、さしずめトラベラーズチェックみたいなものと言えるし、朴訥だけど心に響く言葉は、ブタの貯金箱で一生懸命貯めた小銭みたいだ。賄賂や裏金なんかも使えそう。
 子ども向けの番組を大人が一生懸命に作ってる感じがする。そしてこのテーマを受けての、齋藤様コーナーが以下の通り。

アタマをガツン!
みんな、言葉を甘く見てないか?コトバはね、すべてだよ。面接行ったとするでしょ。そしたらその人が1分2分話しただけで、その人がどういう人か分かっちゃうんだね。「あたしってぇ〜、・・・ヒトだしぃ」とか言われると、もう落としたくなります!「おれってぇ〜、なんとか」って言ったらもうその時点で私なら切りますね。言葉っていうのは、自分のものじゃないんだ。世代を越えて共通に通じるお金みたいなものなんだよ。だから、ちゃんとした言葉で話そうじゃないか。というわけでコトバは人格!!


オワリもガツン!
はい、今日は上手に話すコツを教えるね。それはね、書きコトバのように話すということ。いい?普段みんな日本語がこれだけ(教卓の下から分厚い辞書を出して)あるとすると、(全体の5%程度のページ数をつまみながら)これぐらいしか使ってないんだよ。語彙が少なすぎるんだね。「微妙な」「ざっくり」とかそんじゃだめでしょう?もっと意味の含有率を高めようじゃありませんか。そのためにですね、文章を書きまくるんですよ。パソコンで打ちまくる。原稿用紙に書きまくる。そうすると、段々話してるのに書いてるような感じになるんだね。と、文章が乱れないし、表現が豊かになる。で、書きコトバで話そう!!


 「アタマ」で、本日のテーマを端的に30秒でしゃべくり、「今泉家の場合」にスムーズに流れていき、「オワリ」では更にステップアップして日本語力を磨く技を伝授。問題集の基本問題と発展問題のようなものだ。
 前後30秒ずつの齋藤孝漫談ショーだが、番組から独立して、自分勝手に好きなことをしゃべくっているのではなく、毎回テーマに沿った漫談を繰り広げている。
 ゲスト的に起用されているのではなく、「総合監修」であればこそだ。ちょっと顔の知れたタレント先生だったら誰でも良い訳ではなくて齋藤孝なればこそ。素晴らしい!と結局、虫の視点に戻って齋藤礼賛。ええ、そういう日記ですから。