五輪の身体
- 作者: 齋藤孝
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2004/07/30
- メディア: 単行本
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これはアスリートの対談集としてはかなりクオリティの高い仕上がりになっていると思う。
まず一切、努力・根性・涙・愛・友情・・・のような近来のスポーツジャーナリズムとは切っても切れない「秘話」が出てこない。
テーマは徹底して「身体感覚」。トップアスリートでなければ得ることのできない頂上の感覚が、齋藤フィルタを通して一般読者にも分かり易く伝わってくる。
きっとアスリート自身も、うまく言語化できないまま、身体の中に培って来た感覚を上手に引き出してもらう心地よさを味わっただろう。
連載中に、読者であった陸上の為末大選手から「ぜひ出てみたい」という逆指名があったいうエピソードが、その快感を如実に物語る。
今、日本中に蔓延している「スポーツに感動を!」という風潮がいかにアスリートを、そして真のスポーツ好きを辟易させてるのか、スポーツジャーナリズムに関わる人間は、本書を読んで自覚した方がいい。そりゃ、予め感動ドラマの筋書きを作っておいて、そこに結果を当てはめていく方が楽には違いないけれど。
齋藤孝の視点と技なしではありえなかった企画だけれど、齋藤様自身も相当気持ちよかったと思うよ。
なんせ、「臍下丹田」「肚」「肩甲骨」「軸」等々、のおなじみ齋藤タームがバシバシ出てくるんだもの。昨年、この対談をしたことで、裏取って自信付けてDAKARAキャンペーンに臨んだという図式が垣間見えるようなところもツボ。
これ読んで思ったのですが、次のトリノ辺りでは、身体感覚絡めて五輪番組行けそうよ。
それこそ、古舘*1実況×齋藤解説でお送りする全く新しい五輪中継、もしくは五輪直後の特番でトークバラエティ。
ネックなのは、冬季五輪だと時期的に大学の先生のブッキングが難しい点かしら。北京か?
*1:引っ張るな〜