子どもの集中力を育てる

子どもの集中力を育てる

子どもの集中力を育てる

 今まで私が読んだ中で、最もピンポイントに想定読者枠にはまっている、趣味と実益を兼ねた一冊。
 小学校3〜4年生から始まる勉強のゴールデンエイジに備え、その予備軍の子ども達の集中力をいかに養うかという内容なの、だけ、ど。


 まさに幼稚園児を持つ母である私にとっては、バイブルと崇めるべき必携図書なんだろうけど、余りにも、こう、現実問題として身近すぎるだけに、なんだか、「齋藤孝を読む♪」といういつものテンションに持って行けるだけのパッションが持続せず、ミッションだけが独り歩きというぱさぱさした感じがあったりして。
 実にはなるんだけど、愉しみは薄くて、やっぱり私にとっての齋藤孝は実用書じゃなくて趣味・娯楽なんだよなぁと改めて思ったり、しました。…どうも筆致が重い。


 もう一つ、本書はもともと、大阪にあるパドマ幼稚園の機関誌の連載に語り下ろしを加えてまとめられたとのことです。そうした背景上、しょうがないのだろうけど、後半ほとんどがパドマ礼賛に終始しているのには賛同しかねる点などもあり。


 パドマ幼稚園*1というのは「全脳教育」というカリキュラムを実践する総幼研の総本山で、基本理念も実績も素晴らしいのだろうし、合う人にはとことん魅力的なんだろうけど、私のようなだら母には相容れないというか寧ろ向こうから門戸閉ざされてるというのか、…筆致重々で更に続く。
 幼稚園というのは、本当にざっくり大雑把に、一斉保育、自由保育に分けられるのだけど、前者のお勉強系じゃなく、後者ののびのび系に、どろんこになるまで遊んで来ーい、と送り出して毎日真っ黒になった靴下と制服を100均の洗濯板でごしごし洗ってたりするってぇと、パドマを絶賛する齋藤様が、遠く遠く幾重もの窓越しにいるアチラの世界の人に見えてしまうんだな。


 総幼研との関わりというかスタンスが曖昧で、いつもの小気味よい齋藤節が感じられないわりには、総幼研HP上で本書が「あの齋藤先生が書いた!総幼研の教育のエッセンス!」みたいなノリで紹介されている違和感などもあり、今ひとつ向き合い方というか、立ち位置読み位置が分からないのも、このじゅくじゅくした日記を書かせている要因なんだけどさ。


 ほらね、ピンポイント読者だけに、要らんとこで反発したり、違和感を覚えたり、さらには日常の自分をさらけ出したりしてしまったり、なんだかうまい具合に書けないので、本書に関しては、ああそういうことね、と読み流してわざわざここであーだこーだ言うことなかったのかもなと今更ながら後悔しているけど、ええい、乗りかかった船には皿まで咥えて乗り込もう。
 しかし、毒は盛られるより吐く方が性に合っているので、あえて言ってみるね。


 やっぱり、この本、お提灯記事臭いと思う。


 大人ならば、前述のような出版の経緯なども鑑み、いろいろ事情も酌み取らなければいけないのでしょう。まとめとして、最後に書かれてある

自由保育というくくりで語られているスタイルの教育実践にも、一流のものから三流のものまで、さまざまにあります。(略)
 つまり、幼児教育にも、学校教育にも、それぞれの潮流があり、スタイルがあり、それを肯定した上で、それぞれのスタイルにおいて一流かそうでないかというふうに考えていかないと、不毛な原理原則的な議論に終始してしまいます。

この部分から読み取れるものは大きい意味を持つ、と信じてみましょう。


 さて、と。言いたいこと言ったところで、ちょっと気分を変えてみよう。
 本書の前半、パドマについて言及してない部分は、非常に使えます。今更取って付けたようですか。いえいえ、本当に。


「集中力のあるからだをつくろう」という章では、具体的な身体の動かし方やゲーム性も備えたトレーニング例が多数紹介されていて、家庭や教育の現場ですぐにでも活用できそう。
 だから私の超偏見による、穿った読み方とは別のところで、子育て中のお母様には大いにお勧めできますよ。


 この日記、四股や腰割(四股の別称)のキーワードで来てくださる方がかなりいらっしゃるので、たまにはニーズにお応えして、ご挨拶に代えさせて頂きます。

肩入れ
 まず足を開いて膝を外側に向けて立ちます。腰を落として四股立ちになり、膝に手を置く。まず右手で右膝を後方へ押し下げる要領で押し、右腕をつっかい棒のようにしながら右肩を入れていきます。そのとき腰が上がってきてしまいがちなので、腰が上がらないように注意します。同時に、左の膝も前に出てこないように、最初に足を開いた状態をたもつ。反対側も同じように、ゆっくり交互に十回ほど行います。


四股踏み(肩入れの姿勢から)
 裸足になって足の指を開き、地面を踏みしめるような気持ちで立ちます。右足をできるだけ高く上げていきますが、このとき左足の指をしっかり開き、踏みしめておきます。三秒間ぐらい右足を上げた状態でキープしたら下ろす。足を下ろした状態から続けて、腰をぐっと深く下に落とす。腰を落とすときに膝が前に出てきてしまいやすいので、注意します。


 アタマでぐだぐだ考えているより、カラダの構えを作ってしまった方がすっきりするよ。
 股関節には自律神経の束が通ってるらしいしね。どすこい。

*1:今回私がぐだぐだぼやいているのは、パドマを始めとする総幼研に対してではなく、齋藤孝とその関わりについてです。総幼研の実践について否定的なものではありません。教育理念はそれぞれだと思うし、本書に書かれているパドマの教育については興味を引かれる点もありましたし。