コメント力

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 ちょっと気が向いてちょこちょこ書くと、半月程鳴りを潜めるというスタイルが定着しつつありますが。いや、スタイルと言うよりは体たらく。
 そろそろ本気でタイトルを「にほんご月報」に変更することを検討しなくてはと思いながらせめて「週報」くらいにとどめたいこの頃でございます。

 
 とうとう、読みました。
 並み居る齋藤コンセプトの中でも、本丸中の本丸。コメント力!
 余りにも齋藤著書に頻出なので、すっかり読んだつもりになってかえって後回しになっていた分、こちらの気負いも違います。


 そんな「コメント力」へのコメント。めちゃめちゃハードル高い。と思っていたら、長文はコメントに非ずなのだそうですよ。本書での「コメント」の定義は以下の通り。

相手が話したことや映画、演劇、音楽を鑑賞したあとや、事件などがあったあと、それに対してひと言、ふた言言う切れ味のいい発言のこと(中略)つまりコメントとは短いことが重要だ。原稿用紙400字というのはもうコメントとは言わない。だらだら話すのではなく、ひと言、ふた言言った言葉が相手にしっかり入っていくのがコメントだろう。

 言い訳のつもりの引用だけど、諸刃の剣になりかねない。
 コメント欄にお邪魔させて頂いている皆様。ちょっと気を抜くとすぐ400字くらい行っちゃってすみません。簡潔且つ切れ味のいいコメント目指して精進致します。
 どこから手を付けても、自分に返って来ることは免れないのか。
 気を取り直して。


 本書にはコメントの分析・解説、空欄補充の形のトレーニング集、優れたコメントの実例、さらに使える言い回しやコメント力の鍛え方などが書かれている。
 おなじみ齋藤手法である引用がかなりを占めるので、だらっと読んでしまうとそのまま流れてしまうけれど、実はコメント力鍛錬のエッセンスが各所にちりばめられていて、読み手の本気度によって収穫も違うような気がする。
 言い方を変えると、章立てなどの構成にもっと工夫の余地あり、ということなのだけれど、非難するのがコメントと言う思い込みは、齋藤様も警鐘を鳴らしておいでなので、少し遠回りしてみました。


 日頃、とくダネ!を始めとするテレビ番組においてはそのコメント力で私たちを魅了する齋藤様だけに、そんな実践を踏まえて語られるコメント力とは!?と、注目してしまうところだけれど、実は本書は、とくダネ!レギュラーコメンテーター以前のもの。
 更にこんな記述まで。

私はなるべくテレビのコメンテーターという役目は引き受けないようにしている。

 実際は、この原稿が書かれた直後にその役目を引き受けておいでです。
 番組の空気に慣れない所在なさが心配された就任当初から、ご自分の持ち味を活かしての小気味よいコメント炸裂で、金曜マダムの心鷲掴みの現在に至るまでの足跡は、適宜ここでも触れて来たものだけど、それら数々の経験を踏まえた現在、齋藤様の中での「コメント力」の概念は、更なる進化を遂げているはず。


 また「世界一受けたい授業」でもコメント力を取り上げていることから、きっと近いうちに筑摩書房からもう何匹目になるか分からないドジョウ狙いの「コメント力2」もしくは「続・コメント力」或いは「新・コメント力」いや「コメント力リターンズ」否「コメント力第二章」…いい加減にしておきます。ま、その類の本が出てくる可能性はかなり高いのでは?と踏んでおります。
 その時は、齋藤様ご自身の珠玉のコメント群をふんだんに取り入れて欲しいものです。
 

 そして、読み進めながら一つの謎が頭の片隅に引っかかっていたのですが、エピローグにて納得。
 テキストとして挙げられているコメントに恋愛カテゴリーのものが出てこないのですが、執筆中にすでにそのおいしさに気づいていた齋藤様が、ドジョウの前に一石二鳥を狙うべく「恋愛力」のコンセプトを暖めていたために意図的に外されていたようです。
 読み物としての面白さとは、藍は藍より出でて藍より青しだと思うのですが、全ての基本として一応押さえておきたい「コメント力」


 …思った通り、書いてるひと言ひと言に対して、「コメント力」フィルタでセルフチェックが入るので書きにくいったらありゃしない。
 どうしてもっと早く読まなかったのか?と思っていたけれど、日記開始当初に読んでいたらきっと身体の芯で受け止めて落ち込む余りなにも書けなかったことでしょう。更新遅くたってなんだって、好きなように書き飛ばしていく図々しさが身に付いてから読んだのは大正解。続編も恐れるに足らーず。