カラダ△アタマ△ココロ
新春らしく、と言っても一月も既に半分終わろうとしておりますが、先日にほんごであそぼでもおなじみの野村萬斎さんを見に出かけました。正しくは「万作・萬斎の世界」という狂言の舞台です。
スマの次は萬斎かいっ、という正当派齋藤ファンの皆様の一斉突っこみが入りそうですが、大丈夫。いかにもエクスキューズっぽく添えられた「にほんごであそぼでもおなじみの」の一文で、なんとか体裁を取り繕おうなんて姑息な手段ではありませんことよ。
では、齋藤ファン的狂言の楽しみ方、どうぞ。
子ども向けの狂言ワークショップに参加したことがあるくらいで、本格的な狂言の舞台は初めてのこと、しかも野村萬斎さん!
そもそもbefore齋藤孝だった私が、「にほんごであそぼ」を放送第一回から見続けていたのは、萬斎さん目当てだったくらいですから、盛り上がりも一入です。
初心者でもちゃんと分かるのかしらという心配は全くの杞憂。パンフレットの<あらすじ>や<語句解説>の助けもあり、意外な程、すーっと内容が入ってきて自然に笑ってしまう、これは面白い。狂言、いいよ。
動きに笑い、表情に笑い、間に笑い、台詞に笑う。
始めの三つは、演者の力量に負うところが大きいと思う。
台詞だってもちろんそうなのだけど、これは観客側の言葉の理解という要素も絡んで来るので、こちらの力量も問われるような気がする。それでも難しい言葉や今では使わなくなった古語の部分にもだんだん反応するようになってくる。はっきりとは分からない言葉でもニュアンスを掴んで、笑ってしまう。
笑っているうちにだんだん、笑い以外のところの台詞回しにも慣れてきて、狂言の世界に心地よく入り込んでいく。いつの間にか客席が演者のペースに巻き込まれて来るような感覚。
この感覚、初めてだけど、知ってる。と思ったらあれだ。肩甲骨ぐるぐるだ。
齋藤様が、講演会で聴衆のリアクションが今ひとつだと思ったときに身体をほぐしてもらうというあれ。身体をほぐした後は、驚くほど反応が良くなると言う。
笑うことで身体も心もリラックスさせ、緊張を解きほぐしたところで聴く観る構えが出来、更なる笑いが引き起こされる。そして、小難しそうな古語の世界だって違和感なくするっと入ってくる。こういうことだったんだ。
今まで本からの知識だったことを体感してしまったよ。
リラックスして聴く観る構えが出来ているカラダと、理解したいと思うココロがあれば、アタマでお勉強することを軽く上回ってしまうんだ。
こういう導入さえあれば、退屈な古典の授業だっていくらでも楽しめるだろうに。これ、齋藤様的発想。
狂言面白かった。萬斎さん素敵だった。万作さん流石の貫禄だった。大満足。
でもここに齋藤的視点が加わると、更にトクした気分になれるのだよ。いつも心に齋藤孝推奨。