人を10分ひきつける話す力

人を10分ひきつける話す力

人を10分ひきつける話す力


 これ、筑摩書房から出版されていたら「話力」ってタイトルだったんだろうか。そうなんだろうな。で、あの装丁。


 少し前にも書いたけれど、私の逆アキレスと亀的齋藤様著書読破への道のりでは、まず気になる本を図書館で借りて読み、その内容によって手元に置いておきたいものは後日購入というスタイルを採っている。
 amazonやブログ等の書評で新刊をチェックすることも多いけれど、図書館のHPで蔵書チェックをして予約状況を見ながらネット予約することもある。本書は後者だったので、装丁にも出版社にも左右されることなく純粋にタイトルで選んだ。
 そして手元に届いてから、あ、原稿用紙10枚を書く力の第二弾だったんだ、と気づいた。


 前作の「原稿用紙〜」もそうだったけれど、手に取らせ読ませる本の作り方、殊にタイトルの付け方は本当に巧い。大和書房に匠がいるのか、担当者と齋藤様の相性が余程合っていて濃密な打ち合わせで企画案が練り上げられるからなのか。


 だって、前回も読んでいる途中で、自分は原稿用紙10枚書く必要性に迫られてないんだったってことに気づいたし、今回もそう言えば私が人を10分ひきつける話をする機会なんて今のところ皆無だ。
 なのに読んでしまうのは、本作りの腕。そして10枚書いてみたくなる*1、10分話したくなるのは書き手の腕。
 第三弾は是非「10冊買わせる本を作る力」で。10冊じゃだめか。


 そういうわけで、流されやすくその気になりやすい、プロパガンダには最適の顧客な私としては、スピーチでも演説でも、なんなら講演会でもやってみる気満々で、私を祭り上げるなら今よ!てな気分全開ではあるのですが、残念なことに周りが付いて来ないんでは、せっかくのパッションも持ち腐れなので、少しでも私の知識(偉そうだけど、単なる受け売り。しかも実の伴わない薄っぺらな)を世の中のために役立てるために、ここに少しだけ紹介いたしましょう。
 人をひきつける話の肝は以下の四つ

  • 意味の含有率
  • ライブ感
  • ネタの豊富さ
  • 身体性

(詳しく知りたい人は本書参照願います)


 話す力を鍛える基本トレーニングの一つとしてブログも挙げられている。

自分が読んだ本などに関して、自分の経験を交えて、一まとまりの話に仕上げてみる。そこにおもしろいタイトルをつけてみる。そういう練習をしてみるといい。

 まさに今私がやってることそのものなのだけど。
 …うーん。意味の含有率。ネタの豊富さ。
 どーでもいいことをあーだこーだと横道逸れっぱなしで更に冗漫な修辞で煙に巻くようなことばっかり書いてるんじゃだめってことなんでしょうね。(一応、自覚はあり)


 前作と同様、本書で紹介されているスキルが世の中のどのくらいの割合の人にとって必要なものなのかは甚だ疑問なのだけど、それでも読ませてしまい、その気にさせてしまう仕掛けは大変上手です。
 プレゼン、各種スピーチ等、差し当たって具体的な「話す力」を要するならば、それぞれの分野専門に書かれた本に頼った方が手っ取り早いけれど、それら全てに共通する「話す構え」を身に付けようと思うなら、本書は大変有効だと思われます。

 
 では、齋藤マニアはどう楽しめば良いか。
 これまでに出版されているhow toっぽい著作と本書が少し違うのは、メディアへの露出が多くなって以降のお仕事について随所に触れられている部分でしょう。
 TVやCM、対談やタウンミーティングなどについて触れられた箇所は、ファンなら「ああ、あの時の…」と恰も記憶を共有しているかのような密かな自己満足に浸ることが出来るし、それらから得たことが著作活動に反映されているのが面白い。
 近著ではこんな楽しみ方も出来るのがまた乙なもので、どれだけの齋藤孝を取りこぼさずに見ていたかというのが大きなポイントとなる。


 でも、これ。

 私は「とくダネ!」(フジテレビ)という番組に毎週一回コメンテーターとして出演している。

 
 本書の発行は2005年8月30日なので、原稿を書いている時点では確かに週1のレギュラーだった…たった半年足らずのことなのに、今では月1出演もままならず、それでも一縷の期待を込めて8chに合わせてみる、金曜朝8時。
 公式サイトにはまだ「とくダネ!金曜レギュラーコメンテーター」って書いてあるしな。でも既に連載が終わった「美的」も「婦人画報」も載ったまんまだな…と未だ堂々巡りの日々を送る齋藤ファンにとっては、この一文はきらきら輝きすぎるのです。眩しすぎて涙が出そうです。


 と言うわけで、読破への道、2006年はちょっと泣ける齋藤孝からスタート。



 で、私は普段全部書き終わってから読み直して、タイトルを付けるのですけどね。「そこにおもしろいタイトルをつけてみる」(前掲)
 今回、ハードル高すぎ。しばらく考えたけど名タイトルが浮かばないので、そういう時は読んでる人の3%くらいにしか分からないだろうネタで煙に巻くに限る!拙者甲賀流故、NIN×NIN!…逃げろっ

 

*1:書いてみたくなっただけで、実際は5枚弱で挫折しましたが→原稿用紙5枚弱書く力