友だちいないと不安だ症候群につける薬

友だちいないと不安だ症候群につける薬

友だちいないと不安だ症候群につける薬

 さくさく行くよ。
 帰省中につき、普段より読書の時間が取れるのと、敏腕司書の友人の協力により、齋藤・非齋藤問わず読みたい本がたくさん読めるんだ。幸せ。


 で、半年以上前から読みたかった本書。ずっと待ってたけどまだまだ順番が来ないってのに、実家近くの図書館ではすぐ手に入るのはなぜだろう。
 阿漕な手は使ってないと、思う。この辺りじゃ齋藤認知度が低いのか。


 そんなことはさておき。
 楽しみにしていた分、ハードルが上がっちゃってるんだろうか。あんまりすっきりしない読後感。
 まず一つには、と言うか、それが本当に大きいのだけど、だらだら冗長。ポイントが分かりにくい。ちゃんと良いこと言ってるのに、訴えてくる力が弱い。
 その理由は明確で、これ、本当に齋藤様の著書なのかと思うくらい、章立てがあいまいなんだ。目次を見たら一目瞭然なので、一部抜粋。

第1章 「偏愛マップ」で「友だち力」をつける―17
「友だち力」とは何か19  友だちになるには好きなものについて語り合う20 「偏愛マップ」を使ってコミュニケーションをとる21 好きなものの範囲が広いほどコミュニケーションの可能性が広がる23 (以下略)


 齋藤孝が濫発と批判されるほどの出版スピードを支えている大きな力は、その構成力だと思う。
 本の企画の段階で、その本のメッセージを明確に伝える為の揺るぎない柱が確立されていて、それを更に分かりやすくしたり、展開させるための支柱が立てられていく。
 だから齋藤様の本は、目次を見れば大まかながら、その肝を知ることが出来る。


 それが、本書に限っては上記抜粋を見れば分かるように、細かい章段が、淡々と延々と続く。
 「偏愛マップ」も実際の中学生に行った「いじめと友だち力」の授業もとても興味深いのに、淡々延々の中で、妙に薄まって埋もれてしまっている印象だ。
 これなら、もっと「いじめと友だち力」授業に的を絞って、ルポルタージュ風にまとめた方が、切り口としても面白いだろうに、欲張って手を広げすぎてしまったんだろうな。朝日新聞社らしいな、悪い意味で。


 これで良いのかと思いながら読み進めるうちに終わってしまって、うーん…と思っている時に、ふと思いついてしまった。
 これって、三色ボールペンで線引きながら読むのに最適なテキストなんじゃないの?
 すごいぞ、私。齋藤孝堪能の天才。


 通常、齋藤様の著書で色分けしようと思っても、しっかり要点がまとまっていて、重要なところは予め強調されていることも多い。
 だから良いこと言ってるのに、今一つポイントを絞りきれていない本書は、絶好の線引きトレーニングブックと言えよう。


 ここで復習。三色ボールペン活用術とは?
重要だと思うところ」に赤
やや重要だと思うところ」に青
「自分が面白いと思ったところ」に緑
と使い分けて、線を引きながら本を読む。(詳しくは三色ボールペンで読む日本語参照)


 そこで、本書における私の赤大賞、青大賞、緑大賞を発表〜!!
 と行きたいところだけど、ここまででも十分冗漫に過ぎる*1ので、赤・青は省略。緑は書くんかいっ、ってとこですが、書きます。
 この日記で私が書いてるのは、赤や青に該当する部分はほとんど無視で、緑を愛しむようなものなので、今しばらくお付き合いくださいませ。

 恋愛というのは、もっと野性的な直感―相手の遺伝子が欲しいというくらいな野性的な直感で選ぶわけですから、相手がどんな世界を自分の世界として作り上げてきたかということだけではありません。 (P46)

 そっか。恋愛ってそんなに激しいものだったのか、と齋藤様の恋愛力ポテンシャルをひしひしと感じて緑濃し。

「一つのパーティーごとに一人の人と仲良くなる」 (P76)

 何人もの人と知りあわなくてはいけない、とパーティーや会合に出向くのが億劫になりがちな人へ、目から鱗のこの一言!…と思ったけど、そもそもそんなパーティーに参加する機会なんてないな。ま、応用利かせて、人付き合いへの気構えを楽にする概念として緑印。

 これはキムタクとペ・ヨンジュンの違いだと思います。もちろん当人の性格ではなく芸風としてですが、キムタクは切れるのを特徴としていて、ワイルドさがたまらない魅力の芸風だとしますと、ペ・ヨンジュンは、非常に丁寧に言葉をつくしていて感情の潤い、情緒がつまっている。 (P191-192)

 ここはスマ姐としては、押さえておかなくてはいけないかと。
 とは言ってもキムタク表記で出てくる時は、多くの場合、木村拓哉個人を指す固有名詞ではなく、世間や業界が作り上げている概念としてのキムラタクヤ、つまり抽象名詞として使われているので、余りヲタ的には意味なかったりするんだけども。
 でもなんか齋藤様の著書でスマ関係の単語が出てくると、余計に「お?」と絡みたくなってしまうという緑心。


 あら。なんだかんだ言いながら、結構楽しんで読んでる?

*1:返し刀で自分をばっさり